沼**人
宮沢賢治の人となりが十二分に感じ取れる朗読CD
石田彰さん目的で購入しましたが、宮沢賢治の作品と本人の人となりも好きなので、とても良かったです。賢治役とナレーションが石田彰さん、その父役が津田健次郎さん、トシが桑島法子さんで、豪華メンバー。賢治の生真面目さや生まれ育った環境などがよく伝わって、とても良かったし、妹トシとの関係性も。永訣の朝の朗読とトシの亡くなるくだりは目の前に光景が見えるようで泣きました。耳の中に「あめゆじゅとてちてけんじゃ」が長く残りました。喪失からの立ち直り。どっどど どどうど どどうど どどう賢治の思いが伝わる表現。様々なことをチャレンジするもうまくいかず失意の中でもう立ち上がれないという状態になった時、やっぱり亡くなっても妹トシの存在が賢治を支え続けたんだなというのも改めて感じたりしました。ジョバンニとカンパネルラの絆。人々の幸いのために生きようとする二人。童話を書き続ける賢治の様子。病床の賢治。苦しい息遣い。朗読でここまで伝わるのも凄いなとつくづく思いました。ツダケンさんの賢治の父も最後の方がとても良かった。賢治の最期「トシ、僕少しは頑張ったかなぁ、これで良かったかなぁ」泣いた。宮沢賢治名作選集のCDも幾つか持っているのですが私としてはこの賢治物語が一番良かったです。これで朗読劇などしてほしいくらい。欲を言えば賢治の台詞がもう少し岩手の方言だったら完璧だったなと思うのですが、詩の朗読のところだけでも良かったです。そしてナレーション部分もとても良かった。「雨ニモマケズ」の朗読も。(声優ファンは嬉しいキャストコメント付ですが一般の人は一部引くかもですね)
ぷ**郎
演技が素晴らしかった
宮澤賢治の20代くらいから亡くなるまでをドラマ仕立てにし、ドラマ中に8つの作品からの一部分が差し込まれています。このCDは、ほぼドラマで作品パートは少なめです。役者さんの演技が素晴らしかったです。特に永訣の朝の感情表現は、桑島さんのトシがひどく儚く、りんごの様な頬をして熱にうかされているのがありありと表現され、賢治が鉄砲玉の様に雨雪をとりに飛び出し、命の灯が消え号泣する様は引き込まれます。朗読ではなくドラマ内として演じている詩の永訣の朝は、賢治の心の慟哭や感情の波を絞り出すように見せつけられ、偉人である作家が生きていた人間だと見言うことを改めて感じました。脚色されていたら嫌だなと思って、ちょっと斜めに聴いていた筈なのにこちらも涙が止まりませんでした。私は宮澤賢治がとても好きで、脚色されていたら嫌だなあと思いながらも、宮澤賢治の詩の一節でも大好きな石田さんの声で聴きたいと熱望していたのですが、ドラマとして演じている詩は、朗読としてでは聴けないので、聴くことが出来て良かったと思います。ドラマが進むにつれて体調が思わしくなる感じが、声のトーンや息づかいのわずかずつの変化で言わなくてもわかる所もすごいと思いました。 いくつか気になることもあって、脚本にはオリジナルキャラが登場します。演技が素晴らしかったので違和感はないのですが、狂言回しに使うとしても、ちょっと出過ぎじゃないかと気になりました。賢治がやる気を起こすトリガーにオリキャラを使うのはどうかと思います。賢治にあまり興味がなければ気にならないかもしれません。農民の感じはすごくリアルです。話のまとめ方が、ちょっとテンプレに支配されてるのも気になりますが、役者さんの演技が素晴らしくて、本当に買って良かったと思う一枚です。次は是非、宮澤賢治の詩集や童話の朗読を聴きたいです。石田さんによる、春と修羅の朗読を是非に切望する気持ちをこめて4,5点とします。
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